立冬が過ぎたのに、まだまだ暖かいですね。

暖かいのにしっかり空気の香りはすっかり冬の影がある。
そんな時はこれ、プリン。

さて、今回は前回に引き続きプリンスペシャル第2弾です。

プリンというのは、あの丸っこい台形の姿でこそプリンである。
そう思う人は多いのではないだろうか。

プリンはもはや味ではなく、形がすべて。

プリンかと思えば全然豆腐だったとしても、我々はその形を保ってさえいれば
「プリンかもしれない。」
と、思い込めるほどにはプリンのメジャーな形に支配されている。

しかし、じゃあこれはどうだろうか。

ローソン


ローソン、プリン!?パン。


まず名前からしてなにか不思議な少女の情緒が感じられる。
無邪気にはしゃいでいるそのパンは、見た目は蒸しパンである。

「プリン!?」と驚けるポイントは一体どこにあるのだろうか。

そもそも、自らリアクションしちゃっているその勇気。
答えはいつだって消費者に任せるものが多い中で
こちらからすでに消費者のリアクションの答えを導いている。

オチを明かして漫才に挑んでいるのだ。

とんでもない自信である。怖い。

「今からおもしろいことやりまーす!」と言って前に出る奴ほど
おもしろいことが起きない世の中。

その世の中に自ら飛び込むのは相当商品価値が高いか、ものすごい頭が悪いかのどちらかである。

袋を開けると、見た目は少しプリンに寄せている。

第一「プリン!?」ポイントだ。
しかしここで私は「プリン!?」とはならない。

答えをもう知っているのでわざわざ驚けない。
甘い。

あと最初からそこまで乗せられると素直に感情を表に出したくないのが大人である。
私は大人になってしまった。

少しの虚しさを感じつつ一口食べると
第二「プリン!?」ポイントより前に押し寄せてきた
「うんめえ!!!!!!」ポイント。

 確かにプリンの風味もある。
しかしそれよりも、プリンでいうカラメル部分が
カラメル風味の柔らかなクッキー生地になっているのである。

サクサクとしたクッキーではなく
存分に味の染み込んだしっとり柔らかクッキーである。

カロリー界もっとも悪に近い、あの美味しいやつである。

一本とられた。

ここをただカラメル味にしてプリンと同じ構図にするのではなく
クッキー生地にするというローソンならではの攻めたアイデアが加えられている。

パンというよりも、すこし簡単なケーキのようにも思える。
ケーキほど負担は大きくないのに、パンというには豪華だ。

中にはホイップクリームとカスタードが入っている。
中身の量も申し分ない。

全ての生地が基本的に甘めに作られているので
ここで調子に乗って溢れんばかりのクリーム攻めにすると
すべての均衡が保てなくなってしまう。

柔らかなクッキー生地と、しっとり軽いパン生地
そして中には自立できていないカスタードクリームに
それを持ち上げる角の立ったホイップクリーム。

すべてをひとつにまとめたものが美味しくないわけがない。
むしろおいしすぎてしまう。

プリンは入っていないのに、結局私はプリンを頭に浮かばせながら
しかしパンのおいしさも感じながら完食した。
各々の良いとこ、てんこもりパーティーだ。

プリンではなかったはずなのに
しっかりプリンに対する欲を満たしてしまった。

しかし結局最後まで「プリン!?」というはじける驚きは出せなった。

出せなかったのか、出さなかったのか。


初めから消費者にリアクションを導かせる
言わば「おもしろいことやりますノリ」をかましてきた商品。

少々冷めた態度をしてしまったが、今わたしに足りないのはこれではないのか。

「相手はウケないかもしれない」
「私だけかもしれない」

初めは自信を持って、心が希望で満ち溢れている状況でも
いざ人前に出す時にはこのような濁った感情が沸き立ってくる。

それでも最後まで自信を持って
「きっとプリン!?ってみんな驚くぞ!」と浮足立つような日々を送り
商品を世に出すことこそ、一番大切なことではないだろうか。

「さ~て!みんな驚いてね!そして食べてね!」
というまっすぐさを冷めた心で見る私のほうが、よっぽどナンセンスなのだ。

「今から面白いことやりまーす!」
と言って前に出てスベり倒したとしても、面白いことをやれなかったことを鼻で笑うのではなく
自分が面白いと信じ切ってやりきった姿に笑い、賞賛の拍手を送ることが正解なのではないだろうか。

いわば私は、いつだって己を信じ切れるプリン!?パンに憧れという嫉妬をしてしまっていたのだ。


”「今から面白いことやりまーす!」と言って前に出る奴ほど
面白いことが起きない世の中。

その世の中に自ら飛び込むのは相当商品価値が高いか、ものすごい頭が悪いかのどちらかである。”



さきほどはこう言ったが、自分の価値を高めて飛び込めるメンタルを持たなければ
人々に感動を与えられるものは生み出せない。

ものすごい頭が悪いのは、おもしろいと思ったことをグズグズとしている間に
違う誰かに出されて爪を噛みながらアンチに回る方である。

やれなかったことに対する嫉妬は、何よりも粘りが強くダサいものだ。

私は、背筋をシャンと伸ばしたこの商品を心のバイブスにしたいと思う。
しっかりしなければ。
そして、相手が望んでいた言葉をちゃんと言わなければ。

思っていなくても、わざとらしくても、これが商品と開発部に対する敬意というものである。


「え、プリン!?」

食べ終わった第一の感想は、これ以外なかった。