「今日は絶対に新作のシュークリームを買って帰るぞ」

と、私は落ち込みながらも意気込んだ。

落ち込んでしまった時は、その日のうちにご機嫌を取るのが私のルールだ。

 

しかし、ローソンに入るとお目当ての新作シュークリームは品切れだった。

そのまま店を出ればいいもののチョコパンを買って出た。

心の隙間をなんでもいいから埋めたかったのだ。

それに、コンビニというのは別名「何か買わないと出られない部屋」である。

実際に閉じ込められるわけではないが、気持ち的になんか出られなくなる。

それも相まって欲しかったわけでもないチョコパンを買った。


完全にシュークリームの口なのに、くたびれたチョコパンを食べたので脳が驚く。


その理想と現実のズレを修正しようとなんとか「チョコパン美味しい!」と思い込むが

そういう無理のある軌道修正はとても心が疲れてしまう。

ということで無理に自分を励まさず、その日はとことん落ち込むことにした。

 

ご機嫌取りは、次の日に持ち越された。

 

翌朝、あんなに軽かったチョコパンがしっかり体重に反映されていた。

こんな重くなるなら先に言っといてほしい。

チョコパンには分からないだろうが、人間には心の準備というものがある。

この増えた脂肪は正真正銘の無駄だ。

 

一日中どんよりしていたので、日が暮れる頃にローソンへ新作シュークリームを手に入れるための冒険へ出た。

カバンに短剣と方位磁石、母からのお守りを入れ

家族に長旅になるだろうという手紙を書き、さっそく一軒目のローソンで見つけた。

家族への手紙は捨てた。

 

部屋に入ってすぐにシュークリームを冷蔵庫に入れ、腕をまくる。

洗濯物を回し食器を洗い、部屋の掃除をする。

 

空腹に顔を歪ませながらもお風呂に入り、面倒なことをすべて終わらせる。

そうして食べ物と向き合う準備を整えた。

 

冷やしておいたシュークリームを取り出す。

 

「クキ3シュー(クキクキクッキーシュー)

クキ3シュー


小学生のころ手紙の最後に書いた「バイ2」のノリ。

若い。いや、古いのか。

 

ザクっと一口食べると、クッキー生地に包まれていたのはミルククリームとクッキー入りのバニラクリーム。

しかもそれがぎっしり詰められている。

甘さ控えめかな、と思いきや上に乗っていたパールシュガーを噛むと一気に甘さが広がる。

 

退屈にならない控えめさと、くどすぎない甘さが交互にやってくる。

おっかねぇ構成力だ。

食べ進めるたびにどんどん嬉しい気持ちになっていく。

 

なにより自分を励ますために買ったものには、とても励まされる。

 

「その場しのぎの小手先のアイテムで心をどうにかしようとしない。」

少しだけチョコパンの味を思い出しながら誓った。

巡り巡って、いつかあのチープなチョコパンに励まされる時が来るのだろうなとも思った。

 

 

翌朝、あんなに軽かったシュークリームはしっかり体重に反映されていた。

心を励ましてくれたものが脂肪として私の体積を増やした。
この増えた脂肪は正真正銘の生き様だ。





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